空や雲についての詩もいくつか書きました。
どこまでも簡潔で、無駄はありません。青と白、色の対比も鮮やかです。この詩でそれ以上に鮮やかなのは、発想の転換、視点を飛ばしている点です。見上げる姿勢のまま、空高く見下ろす姿を思い浮かべ、言葉にすることは、誰にでもできそうでなかなかできないものです。豊かな想像力、言ってしまえばそれだけのことなのですが‥。
「青空を / でんしんばしらの / はりがねが / すつときつている」 はりがねが空を切る。そのはりがねにとまってないているのは、「雀」であり、「チドリ」でもあります。
**注記**『千鳥遺稿』には「クモ」と題した詩がもう一編 載っています。
キレイナクモヲ / カカウト / エンピツダシテ / デテミタガ / クモハ カタチヲ / カヘテヰタ
『千鳥遺稿』19頁にあるこの詩は、表題が「クモ(蜘蛛)」となっています。おそらくは遺稿集を編んだ母・古代子がそう記したのでしょう。ただ、これは、動物の「クモ」ではなく、空に浮かぶ「クモ」を詠んだ誤植だろう、という意見もあります。そうかもしれませんが、絵本『千鳥のうた』では、そのまま蜘蛛として絵にしています。