大正時代はヴィジュアル・視覚文化が拡がった時代でもありました。「かつどう」人気を背景に、1919(T8)年7月には『キネマ旬報』が創刊されました。一世紀を超えて令和の今も刊行の続く老舗の映画雑誌です。
続いて1923(T12)年1月にはグラフ雑誌『アサヒグラフ』が誕生します。日本初の日刊写真新聞として1月25日にスタートした当初は日刊でしたが、この年の9月21日に起きた関東大震災で臨時休刊し、11月14日号からは週刊の画報誌として復刊され、2000年10月15日号をもって幕を閉じるまで77年間にわたり日本を代表する画報誌でした。
時事報道に加え、世相や風俗を特集した記事が載っていたようです。雑誌の図書館として有名な大宅壮一文庫の所在雑誌紹介では「日本のグラフ誌の草分け。事物よりも「人」を重視した編集」とあります。
ヴィジュアル文化が芽吹き、拡がり、花開いた大正時代。それまでの文字や活字中心の時代から、画像・視覚重視の時代へー今に至る「イメージ時代」のはじまりです。