上田トシコさんは千鳥と同じ1917年生まれの漫画家です。少女漫画の黎明期に活躍しました。
代表作としては40歳で書いた『フイチンさん』が知られています。満州国時代のハルピンを舞台に、お金持ちのお屋敷の門番の娘フイチンさんがわがままなお屋敷の坊ちゃんと遊び相手となって繰り広げるてんやわんやが描かれます。
アジアを舞台に、フツーの人々のフツーの日常を描いて、21世紀の今なお新しいファンが生まれて人気です。レトロモダンは古びないということでしょうか。
美術家の奈良美智は、その描線の美しさを讃え、「偏見を持つ前の子供の世界」の普遍性・グローバリズムを指摘します。
上田さんは90歳までの長命長寿を生き、2008年3月初めに亡くなりました。合掌。