千鳥の種は無尽蔵です。令和の御代になって減りはしたでしょうが「千鳥」の名を冠した酒場・喫茶店は全国各地にありそうです。かつては、酒場でほろ酔い「千鳥足」なんてのも見かけたものです。
建築の世界にも千鳥はいます。千鳥破風。破風とは、「屋根の切棟の端の両下して山形をなす処」(大槻文彦『新言海』)のことです。図を示すのが早道でしょう。長野・松本城の天守閣です。
千鳥破風(下段)は、建築構造上必要な切妻破風や入母屋破風(最上段)などに比べ、唐破風(中段)とともに、装飾性の高いものです。その姿が、羽を広げたチドリのように優美なことが命名の由来だと云われています。山陰島根の松江城は、別名「千鳥城」と呼ばれます。
(現存する天守閣はすべて屋根と一体となった入母屋破風ですが、創建当時の絵図では千鳥破風が用いられたことや、南に見える宍道湖に千鳥が多く生息していたことから「千鳥城」の名が生まれたと云われています。建築には、もっと愛らしい千鳥も居ます。
オマケその壱:目に付いた変わった千鳥コレクション、二つ。
オマケその弐:隠語の世界で「ちどり」といえば? ⇒ ご興味の向きはご随意にググってみて下さい。
(ということで、シリーズ「千鳥づくし」はひとまずはココまでと致します。)