朝の月
まだよのあけぬ
白月よ
お星のおともを一人つれ
お月様はどこにゆく
朝日をおがんでかへりがけ
ちらりと空を見上げたら
お月様は しらぬまに
お星と いつしよにき江てゐた
月のゆくへは わからない
大正十三年八月一日
七歳
朝、と云つても星の澄み渡つた四時頃、彼女は祖母を強請つて砂丘の彼方五六
町の渚へあそびに出た。歸るとすぐまた寝てゐる私達の枕元に來て、この詩と
次に掲げる『一りんさいたききよう』と、二つの詩を「濱のおみやげ」だと云
つて書いてみせた。(母 註)