すなにうづめた雪
ある日、ユキちやんと、はまに出て、すなをほつて雪をうづめました。そして春になつたら、ほりだしてたべやうと、やくそくしました。そして、にいちやんのことを、おもひだしました。
きよねん、にいちやんがびようきのとき雪がたべたいと、いひなさつたので、せいちやんと二人が、はまにさがしに出ましたが、どこにもどこにも、雪のうづまつてゐるところはありませなんだ。
春になつて、今日うづめた雪がき江ずにあつたら、にいちやんの、ぶつだんにすへようと、おもつてかへりました。そしておばあちやんにはなしたら、二人はなきました。
彼女は小さな叔父を『にいちやん』と呼んで深く愛してゐた。『にいちやん』が昨年の五月に長逝してから、彼女が涙ぐみながら語る、『にいちやん』の思出話には皆が泣かされてゐた。母註大正十三年二月
六歳