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千鳥の世界

子育て3:日の出日の入り

日の出や日の入りを見たことがない子供が増えている、そんな話を聞きました。地球が丸いこと、地球が動いていることを、知識としては学習しても、体験・実感として全身で受け止め、感じ、体感することが減っているようです。

モノより体験、誕生日プレゼントより家族旅行、昨今そんな風潮も定着しました。けれども、夏休みの感想作文の最近の傾向を嘆く小学校の先生の声もあります。自家用車で家から空港へ、そして飛行機で国内・海外の行楽地へ、着いたらバスでホテルに直行、エアコンの効いた室内で、たっぷりゲーム。食事もレジャーもホテルの中。海辺のリゾートでも浜に出るよりもっぱら衛生管理の行き届いたプールで過ごす。‥「家族で旅行した。ホテルでいっぱい遊んだ。料理がおいしかった。とっても楽しかった。」そんな感想ばかりで、どこに出掛け何を見たのか、道中何があってどんなことを感じたのかがお留守の作文が少なくないというのです。無駄・余地・余白は無くなりました。確かに、昔は近所に見かけた空き地や原っぱは見当たりません。「自然」は、レジャーや観光となり、キャンプや現地体験、山村留学といった「商品」に変わりました。

快適便利になった分、大人も子供も皆、忙しく余裕がなくなって窮屈になったようです。よそ見はゆるされず、寄り道わき道・道草は消えつつあります。「遊び」が消えて「観察と発見」が減ってしまったとしたら残念なことです。そういえば、昔は授業と授業の間の時間を「遊び時間」と言っていましたが、今は「休み時間」というそうです。遊びよりも教科に集中するための休憩優先ということでしょうか。

「子供は、家の中・親元での〈内遊び〉から始め、軒先近所の〈軒遊び〉を経て、親や大人の目の届かない勝手放題な〈外遊び〉を覚えて成長する」ちょっと前にそんな本を読みました。内遊びばかりが肥大し、軒遊びも外遊びも痩せ細っていくばかりです。

日の出や日の入りを知らず、長く伸びた影を踏みながら歩いたことがない子供たち。千鳥の生きた大正から一世紀を超え、今を生きる私たちは豊かになったのか、貧しくなったのか、にわかには胸を張れない思いです。

kobeyama田中千鳥第一使徒

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田中千鳥第一使徒

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