「古書を古読せず、雑書を雑読せず」金原明善さんの言葉です。金原さんは、静岡・天竜川の治水事業や北海道開拓を為した明治時代の実業家です。「古い本を古い時代の話だと思って読まない。雑誌類を雑な気持ちで読まない。いずれも自分の関心・問題意識の中で読めば、思わぬ発見や色褪せない面白さに出会うこともある。そのことを忘れないで」といった意味でしょうか。近代は、新しいものが新しいというだけで持てはやされ、スピードと効率重視の風潮がさらにさらにと加速することを良しとする時代でした。確かに便利で快適になったことは間違いありません。けど、豊かになったのでしょうか。幸せになったのでしょうか。ここらでちょこっと、先を急ぐあまり忘れてきたもの・消えてしまったものに目を向けてみるのも悪くないのでは‥。寄り道・わき道、つれづれ散歩、道草・無駄話。そんな何でもない時間から見えてくる不変不滅の小さなものを、千鳥は言葉にして私たちに遺しました。
