[先回からの続きです] 平成から令和にかけて、グローバル時代に合わせて、小学校では英語やプログラミングなどの教科が増えました。
ディベイトやコミュニケーション能力の強化も課題に挙がっています。一方で、国語の教科書からは詩や小説・評論などの割合が減り、国語教育は、ビジネス関連の実用文が導入・重視されるようになりました。実務実学優先による人文科学の後退です。こうしたリベラルアーツ(文化的教養?)軽視の傾向は大学などの高等教育にも及び、懸念・批判の声も聞かれます。
三年に一回、OECD(経済開発協力機構)が世界中の15歳の子供たち対象に実施するPISA(Programme for International Student Assessment)という国際学習到達度調査があります。
世界72の国や地域から生徒54万人が参加し「15歳までに身に付けてきた知識や技能を、実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるる」(文部科学省 Website より)ものです。2021年はコロナ禍で2022年に延期されました。先回2018年が最新データなのですが、日本の順位は先先回2015年から軒並み順位を落としました。「科学的リテラシー」は2位(2015)から5位(2018)に、「数学的リテラシー」は5位から6位に、「読解力」は8位から15位に下がりました。文部科学省はこの調査結果をふまえ、学習指導要領の改訂を図っていますが、今こそ「読み書きそろばん」を現代的に復活させるべきだと説く教育関係者もいます。「読み=音読:声に出して読む」「書き=書字・暗記:漢字や言葉を覚える」「そろばん=暗算:加減乗除の四則計算をそらで行う」この三つが重要なのだと主張します。
明治維新の文明開化から百五十年、変わったようで変わっていない日本の教育制度。そろそろ制度疲労、真剣に見直しを検討する時機なのかもしれません。教育は国家百年の大計。国家のためではなく、新しい日本人のために真剣周到な指針準備が必要だと思うのです。