「1/f ゆらぎ」という言葉があります。専門家ではないので正しいかどうかはわかりませんが、ウイキペディアに拠れば「規則正しい音とランダムで規則性がない音との中間の音。人間の生体は五感を通して外界から1/fゆらぎを感知すると、生体リズムと共鳴し、自律神経が整えられ、精神が安定し、活力が湧くと考えられている。音響振動数のゆらぎが生体リズムのゆらぎと同じ音楽は、人に快適感やヒーリング効果を与える」そうです。
私たちの心臓の音、ろうそくの炎のゆれ、波の感覚、雨音、風鈴、セミの鳴声……。 音だけではありません。木漏れ日、蛍の輝き、木の木目など。さらには電車の振動、スカートの揺れなどもそうです。いずれも一定のようでいて、実は予測できないものばかりです。
いずれにしろ「1/f ゆらぎ」が、人を武装解除=リラックスさせるヒーリング効果を持つことは確かなようです。
田中千鳥が繰り返し描いた「波」や「風」や「雨」が、時代を超え年齢を超えて、読む私たちに沁みるのは、目や耳の奥深くで、この「1/f ゆらぎ」を感知・感受し、共感・共鳴しているからではないでしょうか。きっとそうです。