次なる使徒は、千葉県八千代市の星清彦さんです。星さんは地元の小学校で教員をしながら詩を書いてきました。千鳥との出会いを月刊文芸誌『かぶらはん(鏑畔)』582号(2006年 群馬県甘楽郡 鏑畔の会 発行 )にこう書いています。
「 序 何気なくインターネットをいじっていたら「田中千鳥」という幼年詩人の紹介が載っているホームページ「ばら色のリボン」に辿り着きました。全く知らない詩人であり、しかも小学二年生でで病死していることも解り、小学校の教員である私としてはこの幼き詩人に興味を抱き、出生地の鳥取市立気高図書館に資料を請求させて頂きました。後日、丁寧なお手紙と一緒に田中古代子詩集「暗流」と田中千鳥詩集「千鳥遺稿」そして「広報けたか」をお送り頂きました。‥‥(中略)‥‥ 兎に角も今から約八十年から九十年前、鳥取県ののどかな町の中にこの親子がいたことだけでも知っていただければ幸いです。‥‥」
星さんはその後「鏑畔」の他「覇気」など幾つもの文芸誌でこの母娘詩人を紹介してきました。鳥取県下には郷土出身の文学者・鳥取ゆかりの女性文学者として母親・古代子を採り上げる学者・研究者は何人もおられますが、娘にまで焦点をあてる人は多くありませんでした。そんな中、全国に詩友を持つ星清彦さんの執筆活動は千鳥の存在を全国区に拡げてゆく足掛かりとなってきました。2016年冬、青森の『ゆきのまち通信』に千鳥の紹介記事が載ったのも星さんの御縁です。
『ゆきのまち通信』は「雪があるからこそ、雪が降るからこそ、この地方が 素晴らしい」と雪国の魅力を紡ぎ、「雪降るまちの思いをつなぐ」タウン誌です。
久しぶりに、千鳥の「春雪」と題した詩を思い出しました。
雪つもり / 雪の中 / 人とほり / 木の江だは / まつ白く / 雀は チュンチュン / うたうたひ
ゆくりなき出会いがゆっくりゆうゆうと、静かに静かに拡がっていくのは清々しいことです。