「チドリは雨の降る日が大好き(だった)」母・古代子は『千鳥遺稿』の編纂後記にそう書いています。「雨の日にはころつと人間が変わって仕舞った。居るか居ないかわからない程、ヂツとしづかにしてゐて、口も利かずに一人で何かしてゐた。」
雨を好む少女。「山もたんぼも雨ばかり / びつしよりぬれて / うれしさう」「かへるは / ころころ / ないてゐる」チドリの雨の詩は、どこかうきうきと弾んでいます。
おなじ「雨の日」というタイトルで書いた詩がもうひとつあります。雨の降る日に江さをさがしに来た子雀を詠んだものです。
雨を好みながら、それでも、「雀」は 「かげもなくとぶ」のです。最後の二行に込められた想いは、切なくはかなげです。