絵本『千鳥のうた』には、カジカ、こひ、スズムシ、ヤナギノ木、などの詩を載せています。
以前のブログ記事【2019/07/14 「クモ シロイクモ」参照下さい】で少し触れましたが、「クモ」もあります。
『千鳥遺稿』には、ききよう、ヒヨコ、ナレタトリ(慣れた鶏)、ちんちやうげ(沈丁花)、おちつばき、ぬれた小雀、牛、きんぎよなどが登場します。フウリンの詩もあります。
「フウリン チリチリ / ナツテイル / カゼニユラレテ / チリン チリン / ヲトガナンダカ / サビシイナ」
中でもチドリの詩文の最多登場生物は、雀・小雀です。星清彦さんの評論「夭折の詩人鳥取の少女詩人田中千鳥について(下)」【月間文芸誌「かぶらはん(鏑畔)」589号 2007年6月】では、「*番外として 唯一の友達の子雀について」の項を設け、「友達の居ない千鳥のたった一人の友達は貰った子雀でした。‥‥」と詳説しています。『千鳥遺稿』の「作文」や「日記」にも、雀のことを何度も書いています。千鳥七歳最後の夏の前には、貰った雀の子を書いた「小雀日記」も残しています。「私のかわいい子雀は / いつでもちゆんちゆん / なきまする / 江さをやると口をあけながら / あわてゝばかり かわいゝな。 / 雀は私のたからです / 雀は私のおともだち / 雀は私のめざましどけい 」そう書いた翌日 子雀はふいにしんでしまいます。小さきものに寄り添い慈しむ心性はいつも小さな受難に遭うようです。