90歳の詩人 谷川俊太郎の詩集『どこからか言葉が』(以降《谷川詩集》と表記)と七歳半で他界した田中千鳥の『千鳥遺稿』を照らし合わしてみていきましょう。
大正十一年十一月 数え年六歳の千鳥が最初に書いた詩 「無題 カキ」
キノハノ ヲチタ / カキノキニ / オツキサマガ / ナリマシタ(實りましたの意) 大正十一年十一月(六歳)
この詩に照応するのは、たとえば、《谷川詩集》「コトバさん」のこんな一節です。
考えから生まれる詩は / ほとんど賞味期限が切れている
或いは、「GENESIS」のこんな連
はじめはなにもなかった? / そうだろうか / はじめからなにもかもあったのではないか / ただみえなかったしきこえなかった
また「見切る」のこんな箇所
君が思い描く未来を否定するつもりはないが / 言葉で描いたものを実現させるには / 抽象から具体への 観念から事実への / 気が遠くなるような難路を歩まねばならない
一世紀を隔てた詩人の呼応・交感・応答。あたかも、千鳥の詩を目にした谷川さんが語りかけ、説きかけ、解きかけているかのようです。(もとより ブログ管理人の勝手な妄想ですが‥)