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千鳥の世界

死者もまた生きる

死者が遺したことばを読んだり思い出したりするとき、死者が生きているように感じることがあります。肉体は失われても、魂は続く、ことばはその運び手として生き続けるのではないでしょうか」『詩と死をむすぶもの 詩人と医師の往復書簡』【朝日文庫版 2015年3月 刊】からの引用です。詩人は、詩だけで飯を喰ってきた恐らく日本でただ一人の人・谷川俊太郎さん、医師は、千鳥の故郷 鳥取のホスピス「野の花診療所」の徳永進ドクターです。二人は永らく手紙をやりとりしてきた間柄です。谷川さんの本『にほんごの授業』【国土社1989年5月 刊】にはこんな一節もありました。「すでに名づけられているものを、自分のこころとからだでふたたび新しく名づけなおすことこと、いわばヒト社会の中に塗り重ねられてきた決まり文句的な意味の皮膜をこそげ落として、言葉をもう一度自分の内部で生み出すこと」「詩のことばの自由さ。(詩のことば)は、いくらでも嘘がかける インチキができる。だからこそ(それゆえに 逆に)ホントウのコト 切実なことにふれていると感じとられればその何かが伝わる。論理や意味をこえた何か、が」と。

鳥取で梨農家を営みながら詩を書く漆原正雄さんは、「一日一日の「この日」を大切にすること その重要性。千鳥には「この日」と出会い直す才能があった。母古代子は(それに気づきそのことを)見抜いていた」と分析、評価しています。千鳥のことばに注目し、評価する動きは、少しずつ、けど、確実に拡がっています。

 

kobeyama田中千鳥第一使徒

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田中千鳥第一使徒

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みすゞと千鳥

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