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千鳥の世界

同人誌 ZINE ‥‥

明治末から大正・昭和にかけて、文学者や社会運動家たちが集まって、自分たちの主張を載せる“同人誌”が盛んに作られました。商業出版とは一線を画し、志を同じゅうする人たちが資金を出し合って、自ら執筆・編集・発行する雑誌の勃興です。

先回採り上げた内堀さんの本『石神井書林日録』には、チドリの義父・涌島義博についてこんな記述があります。「鳥取出身、大正初年に上海の東亜同文書院に入学する。‥‥ 一年ほどで中退、東京に舞い戻り『白樺』の編集に参加。‥‥ その後帰郷した涌島は古代子と知り合い同棲生活に入り、小さな印刷所を始める。(付記:雑誌『白樺』は当時から知られた同人誌の代表でした。)1998年 気高町教育委員会と気高町文化協会が復刻した『千鳥遺稿』には奥付がありません。したがって、詳細・事実は不明です。ただ『千鳥遺稿』(1924年 T13)は、恐らく涌島が始めたこの印刷所で作られたのだと推測できます。主義者であり、ジャーナリストでもあった涌島が、愛娘を亡くして悲しむ古代子のために本を作り遺そうとしたのでしょう。つまり、『千鳥遺稿』は大正時代に生まれた自主独立・インディーズ出版の先駆け、フリープレスの一冊だったのだと思います。

そして百年、時代は変わりました。

リトルマガジン、ミニコミ、プライベートプレス、‥‥ ファンが集まって創作や評論を載せるファン・ジンや俳句短歌の結社誌、直接購読制の個人誌、フリーペーパーなど、種類も様々 多分野に広がりました。紙オンリーの時代から電子ネットワークSNSの世界へ。もはや “同人誌”という言葉は古び、今は“ZINE”と呼ばれるようになりました。( “ZINE”は、MAGAZINE或いはFANZINEに由来?)

さらに言えば、“同人誌”は、漫画やアニメ・ゲームの二次創作が主流、“ZINE”も、写真などのオリジナル主体、アート志向が強いということです。つまりは、詩や小説、文学文芸系の“同人誌”は、絶滅危惧種=傍流・隅っこに追いやられてしまっているようです。やるせないことです。

kobeyama田中千鳥第一使徒

投稿者プロフィール

田中千鳥第一使徒

内堀弘 タナカコヨコ

大正発 令和行 シリーズ 食

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