『千鳥のうた』の絵を担当していただいたアジコさんのメッセージをご紹介します。
絵の背景にある作家の思いを感じ取ってもらえたら幸いです。
絵本のイラストを担当いたしましたアジコです。
大正時代、わずか七才半の命を生きた田中千鳥という少女が紡いだ詩文を抜粋し絵本にしようというプロジェクトにお声がけいただいたのです。出来上がってとてもうれしい。
わたしはそれまで千鳥のことを全く知りませんでした。絵本のお話をいただいたあと千鳥の紡いだ詩だけを読みました。あとは千鳥の育った鳥取の浜辺の風景写真だけ。実際の千鳥がどのような少女であったか、千鳥をとりまく人物のことなど、わたしはそれらの情報にふれたくありませんでした。千鳥が紡いでいった言葉だけを繰り返し繰り返し読みました。
読んでいくうちに、聞こえてくるはずもない千鳥の声が聞こえてくるような不思議な感覚がありました。雨の音やカエルの鳴き声や、波の音、風の音。草の匂い。そんなたくさんの不思議が重なり、それらを絵に落とし込みました。
なんとなく。なんとなくなのですが、千鳥が描かせてくれたのだと思います。
このプロジェクトに関わる全ての皆さま、ありがとうございます。千鳥の詩に出会えてよかった。
千鳥にご興味をもたれた方は、ぜひお手にとってくださいませ。