千鳥の里 山陰の浜辺の村。冬には雪も降り積もったようです。
「ゆき」
もう こちらは / 雪がやみ / あちらの方は / まだやまぬ / むかうの ふぶきの / ふりやうは / 白い鳥が おりるやう (八歳)二月
「春雪」
雪つもり / 雪の中 / 人とほり / 木の江だは / まつ白く / 雀は チユンチユン / うたうたひ (八歳)三月
千鳥の「雪」に呼応するかのような《谷川詩集》の「一行」(部分 第一連)
一行が立っています / 素裸の少女のように / 意味に毒されず / 紙の雪原に
意味に毒されず、作意を持たず、ありのまま。無垢の深度、その清冽、その戦慄。これもまた、本当の詩だけがもつ醍醐味だといえます。