数年まえにチドリさんのことを伝えた友人からこんな風に云われたことがありました。「確かに悪くはない、才能も認める。けど、一地方のそれも知られざる埋もれた文学少女。このレベルはごろごろいる。郷里ではそれなりにスポットライトが当たる画家や作家はあまた居る。全国区は望みすぎじゃなかろうか」と。う~む、そうかもしれません。「悪名は無名に勝る」ということばも聞こえてきます。悪いこと、恥ずかしいことでもいいから、目立ったもの勝ち、話題になればOK、今の時代そんな風潮 無きにしも非ずです、イヤな感じですが‥。無理は出来ません。いつまでも涸れることなくひっそりと流れ続ける伏流水のように自然にろ過され、ときに湧き水として人を潤す、そんな在り方が良いのかもしれません。大事なことはそれまで流れを絶やさないこと、バトンをつなぐことです。
デジタル技術、無線技術は進みました。情報通信・メディアの世界は一変しました。インターネットというネットワークが登場して、新聞やラジオ・テレビなどのマスメディアのピークが過ぎつつあることは何度か書きましたね。チドリさんに宛てたこの手紙も、デジタル・パーソナルコンピュータで綴っています。一瞬にして見知らぬ誰かに送られつながるようになりました。もしかしたら何処かでチドリさんに届いて読んで貰えているかもしれない、そんな妄想も浮かびます。あながち不可能ではない気もしてきます。それが、悪い時代になっていくのか、いい時代に向かうきざしなのか、俄かには判断付きかねますが、まだらに跛行的に進んでいることだけはどうやら確かなようです。もうしばらく行きます。いつかまた手紙送ります。