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千鳥の世界

物心

「子供は純真無垢、無邪気だ」とはよく言われる言葉です。「あの人は、少年の心を失っていない」「少女がそのまま大きくなった人」というのはおおむね誉め言葉として使われてきました。けど、ずっと違和感を感じてきました。どこかしらスッキリしませんでした。そんなことはなかろう、子供なりのズルさ・計算高さがきっとある筈だ、そんなひねくれた思いがぬぐえませんでした。そんな折、ある先達からこんな話を聞きました。

物心が「ツク」と言う言葉がありますね。これってどうやら「損得勘定」「計算」が身にツクという意味の様ですね。人は「知る」事でいろんな「知恵」を身につけていくわけです。

なるほどな、確かにそうだよな。すべては「知る」事から始まり「知恵」をつける。とすれば、物心がつく前、「知る」以前の子供は、「生=ナマ・キのまま」「スッピン無垢のすっぽんぽん」「素面の生物」‥子供たちは、それゆえの真剣・切迫・切実を生きているのだと思います。赤子の無心。力弱く生命力貧しき生物ゆえの「損得勘定」抜き、計算高さ以前の世界。千鳥の自由詩が、心の奥深くにまで届くのは、そんな「容赦なき切迫」のせいなのかもしれません。

kobeyama田中千鳥第一使徒

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田中千鳥第一使徒

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